越境EC(Cross-Border E-commerce)は、国際的に急成長している分野で、世界中の消費者が国境を越えて商品を購入する機会が増えています。2030年には、越境ECの市場規模は全世界で約8兆ドルに達すると予測されています。特にアジア、北米、ヨーロッパのEC市場が成長を牽引しており、日本企業にとっても重要なビジネスチャンスが広がっています。
令和4年 電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)より
越境EC市場の2023年成長率は前年対比で16.4%と高い水準を維持しており、これは国内EC市場の成長率を上回っています。これは、消費者がより多様な商品やブランドにアクセスしたいというニーズが高まっているためです。
令和6年版 情報通信白書 第二部より
越境ECは、日本国内だけでなく海外市場に向けたビジネス展開を考える企業にとって非常に魅力的な市場になります。
1. 日本の越境EC市場の現状と規模
日本からの越境EC市場も堅調に成長しており、直帰の調査結果によると市場規模は3,954億円に達しています。この数値は、特にアジアやアメリカ、ヨーロッパへの輸出が多く、日本の製品やブランドの信頼性が海外消費者に支持されていることを反映しています。
2.国別の越境EC市場規模
- アメリカ
アメリカは世界最大のEC市場の一つであり、越境EC市場の中でも特に大きなシェアを持っています。アメリカ向けの越境EC市場規模は2兆2,111億円に達し、年々その規模を拡大しています。
- 中国
中国は世界最大の消費市場であり、越境ECでも圧倒的な存在感を持っています。中国向け越境EC市場は5兆68億円に達すると予測されており、日本企業にとっても非常に魅力的な市場です。
- ヨーロッパ
ヨーロッパのEC市場も成長中で、特にドイツやフランス、イギリスが主要市場です。2022年にはヨーロッパのEC市場は約8千億ユーロに達し、ポテンシャルがある市場と言えます。日本の高品質な製品に対する需要が高く、越境EC市場規模は数千億ドルにのぼると予想されています。
3.越境EC市場の成長を支える要因
- 物流インフラの進化
近年、国際物流が大幅に改善され、より速く、安価に商品を海外へ配送できるようになりました。この効率化が越境EC市場の拡大を促進しています。
- デジタル決済の普及
PayPalやAlipay、クレジットカード決済のグローバルな普及が、消費者が安心して越境ECを利用できる要因の一つとなっています。これにより、購入手続きが簡単になり、消費者の購買意欲が高まっています。
- 消費者の購買行動の変化
消費者が国内だけでなく、世界中のブランドや商品にアクセスしたいという欲求が高まっており、越境ECの利用が急増しています。特に日本の化粧品や電化製品は高品質で信頼性が高いため、海外でも非常に人気があります。
4.越境ECで中小企業が選ぶべき国は?
販売する商品や状況によって変わってきますが、セカハン運営チームがおすすめするのはアメリカ市場です。以下に選んだ理由を解説いたします。
- 市場規模が大きい:アメリカは世界で2番目にEC市場が大きい国です。
- 進出コストが安い:例えば中国で越境ECをやろうと考えると、数百万円の投資が必要になってきます。しかもいつ黒字化するかも見えにくいぐらい、激しい競争市場です。
アメリカは、例えばAmazonに店舗を出す場合は日本と同じ6,000円程度で店を構えることができます。ノウハウは日本と全く同じではありませんが、中国に比べると販売しやすい市場と言えます。
- 英語だから理解しやすい:日本では義務教育で英語を学びますので、英語に少し慣れています。
まとめ
越境EC市場の拡大は、国際的なビジネス展開を目指す日本企業にとって大きなチャンスです。2024年には市場規模がさらに拡大し、日本製品に対する需要も引き続き高まると見られています。
物流やデジタル決済の進化、消費者のニーズの変化を捉え、効果的なマーケティング戦略とロジスティクスの整備を行うことで、成功への道が開かれるでしょう。